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背景画像 スーツの男性のイラスト 医者のイラスト スーツの女性のイラスト その医師は、最後に希望の明かりをともす。

©︎五十嵐大介

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2024年本屋大賞 背景画像 水鈴社 スピノザの診察室 夏川草介 スピノザの診察室
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全国の書店様から数多くのメッセージを頂きました! 「神様のカルテ」シリーズの著者、渾身の長編小説!

その医師は、
最期に希望の明かりをともす──。

現役医師として命と向き合い続けた著者が到達した「人の幸せ」とは。

20年間、医療の最前線で命と向き合い続けた著者が描く、祈りと希望にあふれた感動の物語。

スピノザの診察室の本

スピノザの診察室 SPINOZA CLINIC

書籍情報

定価:1,870円(本体1,700円+税10%)
ページ数: 288ページ | 体裁: 四六判 上製
装丁:名久井直子 | 絵:五十嵐大介
発行日:2023年10月25日
ISBN:978-4-16-401006-8 | Cコード:0093

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全国から数多くのメッセージを頂きました!全国の書店員さんからの声
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    大阪府

    大阪府 N様

    実際に医療の現場に携わってきた方でなければ描けない作品だと思います。淡々と、しかし真摯に生と死の狭間に向き合う、登場人物全員の姿に感銘を受けました。

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    三重県

    未来屋書店 鈴鹿店 丹羽千紘様

    夏川先生の作品は、慌ただしい日々で忘れがちな大切なことを思い出させてくれるので、大好きです。自然の情景が目に浮かび、人の優しさに触れて心が温まり、凝り固まった心身をゆっくりほぐしてくれます!忙しない日常を送る皆様にぜひ読んでほしいです。

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    兵庫県

    未来屋書店 明石店 大田原牧様

    手塚治虫先生の『ブラック・ジャック』に登場する本間先生最期の言葉。 「人間がいきものの生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね……」 運命の残酷さと無慈悲さを突きつけられた、ずっと忘れられない言葉である。拝読中、何度もこの言葉を思い出した。 生と死に日々真摯に向き合い続けている筆者だからこそ紡げる言葉の数々が、優しく心に染み渡った。突き刺さった。この物語に天才外科医は出てこない。「奇跡」も起きない。しかし、「マチ先生」の背中はかっこいいし、静かに力をくれる。希望という存在に気づかせてくれる。 現世への恨みつらみじゃなく、「ありがとう」と誰かへの感謝を思い浮かべながら、この生を終わらせたい。より今の自分の生にあがいていこう。そんな熱が出てきた。自分のいのちに向き合う時間を与えて貰った。 『長五郎餅』に『矢来餅』、『阿闍梨餅』も食べたい……。『焼栗の金平糖』は今しか買えないし。そんな欲も出てきた。

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    大阪府

    未来屋書店 大日店 石坂華月様

    夏川さんの描く物語って、本当にしみじみとよいのです。 飄々としたマチ先生の温かい心が眼差しが、真っ直ぐ過ぎるくらい。 目の前の患者に真摯に向き合う想いが伝わってきます。 病気が治ることが勿論大切ではあるけれど、完治できない、残された時間が短くてもできることはある。命の灯火が消えるとき私もそうでありたいと願う。 何度も何度も鼻の奥がつーんとして物語に抱き締めてもらった気がする。 あかん、感想を書きながら思い出したらまた泣きそうです。 マチ先生を取り巻く仲間たちも魅力的で 物語の続きをぜひ書いてもらいたい! 舞台が京都、私も5年暮らした土地でもあるので懐かしい景色が重なりました。チャリで暴走した京都市内! そして甘党のマチ先生が嬉しそうに頬張る銘菓の和菓子の数々がたまりませんね。

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    大阪府

    紀伊國屋書店 高槻阪急店 北辻祥子様

    読みながら何度も涙が流れました。 幸せに生きて、死と向き合いどのように終わるのか、どうしようもない事ばかりの中でも希望を失わず、努力し続ける事を考えました。病いと死、人生という重いテーマなのに、読後は清々しい風がふきさったような気持ちになります。作中に描かれる京都の空気と、京都の人々やマチ先生の魅力のたまものですね。(銘菓も!餅を制覇しに行きたいです。)日々の感謝を忘れないよう、背筋が伸びる思いです。

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    三重県

    コメリ書房 鈴鹿店 森田洋子様

    病気に関して素晴らしい知識があり、決断力、判断力に優れているマチ先生。 でもその姿は飄々としていて物事を淡々とこなし、落ち着いていて安心感も持てます。 医師は患者を治してくれるのがお仕事ですが、ただ治療するだけではなく最後まで人間として生きていられるようにマチ先生は、優しさと希望を与えてくれ、立派に生きさせてくれる…そんな人間味のあるマチ先生の周りにいる人達もみんな優しくてあったかい。この雰囲気は読んでいて気持ちが安らぎますね―。

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    大阪府

    大阪府 T様

    マチ先生の物腰の柔らかさ、常に一定の温度感がどんな場面でも安心感を与えてくれる、まさにトランキライザー的存在でした。患者に対して見守るしか手がなく、ままならない気持ちになる反面、こう思う気持ちがエゴであるのかと考えさせられるお話でした。 各話に登場する京都の銘菓が束の間の緊張をほぐしてくれました。 読み返す際は、小説内の菓子をお供に読みたいと思います。"

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    大阪府

    水嶋書房 くずはモール店 和田章子様

    この作品を世に出してくださった夏川先生と 書店員に届けてくださった篠原さんにお礼と感謝の言葉をお伝えしたく思います。 1人でも多くの方にお届けするお役に立ちたい思いでいっぱいです。 夏川先生が書かれた 書店員のみなさまへ 刊行に寄せて を読んでうるっとくるものがありました。 観光ではなく、月3回所要で京都を日常使いしていることもあり(3日前も東寺を見上げ、羅城門遺址近くに向かっていました)原田病院が本当にあって今日も哲郎や秋鹿が患者さんと話している 感覚が続いています。 ガツガツしたりギラギラした生き方が溢れる現代、そうではない自分や環境にどうしたらいいのか迷うものにとって、スピノザの哲学とともに哲郎の佇まいはお手本として示されたように感じました。 哲郎が 「これで良かったのか」と問いかけないようにしていること 今川さんに伝えた「急がなくてもいい」という声かけ 辻さんの生き様 どのように人生の最後をおくったらいいのか どのように見送ったらいいのか ファンタジーではなくリアリティを伴って冒頭からラストまで考えさせられることばかりでした。

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    大阪府

    パルネット 狭山店 山脇様

    人生最後の大仕事は死ぬこと。どう死ぬかは、どう生きたかと云う証であり、改めて大事なことだと考えさせられる。死ぬ側の目線と、そこに向き合う医師の目線で表現されており、50代60代の方に読んで欲しいなーと感じました。読後感の気持ち安らぐ小説でした。

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    大阪府

    水嶋書房 くずは駅店 永嶋裕子様

    静かだと思った。命と向き合う場所なのに。 だけど、決して暗闇ではない。スピノザに絶望感がないように、この物語にもないのだ。 生と死の重なり合う場所で、静かに粛々と患者と向き合う医師の姿は、ただそれだけで安心する。 治る病気ばかりではない。だからこそ、生きるために何を選択するのか、生きるために何を選択しないのか。生は自分で選べないが、死は選べる場合がある。どんな選択でも、そこに耳を傾けてくれる医師がいるだけで、案外落ち着くというのは、これまでの自分の経験で妙に納得がいった。 死は苦しみの終わりでもある。誰もが必ず迎える。そんな時、こんな風に受け止めてくれるなら、受け入れられるなら、どれほど心強いだろう。 現実にはうまくいかないだろうし、望まないものも受け入れるかもしれない。なりふり構わずすがり付くかもしれない。 それでも今、この瞬間は、こんな風に生きてこんな風に終わりを迎える人間でありたいと思った。 幸せな人生というものは、自分で決めるものなのだ。優秀な医者でも身近な家族でも侵すことのできない最期の砦なのだ。

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    大阪府

    水嶋書房 くずは駅店 枡田愛様

    だいたいどの辺に原田病院があって、どこに往診に行き、どこに住んでいるかという情景がしっかり浮かんでくるから、とても親しみが持てました その上、ちょうど同じ金平糖を買ってきたところで、お菓子まで…と 特に何が起こるでもない 毎日が同じような出来事の中でもそれぞれの人生があり、喜怒哀楽があり、思いがある 私たちの生活と同じように。 自分の年齢が上がるごとに体のことや自分がいなくなった世界のことを考える機会が多くなった その時その時は穏やかに考えているが、いざとなった時、自分はどうなるのだろう 怖がりなわたしは医療系小説はあまり読まないのですが(神様のカルテも1冊でやめてしまいました。つらくてごめんなさい)、こちらの小説はそんなわたしにも寄り添ってくれるように、穏やかに受け入れるということを教えてくれたように思います 誰もが避けられない死というものも、こんな先生方がいてくれたら、きっと向き合えるのかな、向き合わなくても受け入れることができるのかなと思いました ダラダラ長くなってしまいましたが、276ぺージから277ページのマチ先生の言葉はこれから幾度となく振り返りたい大事な言葉になりました

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    大阪府

    紀伊國屋書店 梅田本店  小泉真規子様 辻本彩様

    「私はむしろもっと死について知りたいと思っているのかもしれません」 奇跡も起きないし、教授たちの権力闘争もないし、医者が「帰ってこい!」と絶叫しながら心臓マッサージをすることもない。 もっとシンプルな生きることと死ぬことが丁寧に描かれた傑作。 担当者イチオシの一冊。

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    大阪府

    紀伊國屋書店 天王寺ミオ店 木曽由美子様

    心の深い所に優しく語りかけてくるお話。 人の死に寄り添えるということは、 その人の人生に寄り添えるということなのですね。 終末の幸せとは? 感慨深い物語でした。 次のお休みには、京都の町に甘い物を食べに行こう‼

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    大阪府

    NET21清風堂書店 梅田店 徳網様

    癌の終末期の往診や、現場を支える医師たちの戦いがリアルに描かれていて面白かったです。今年自宅で父を(坂崎のように)看取ったことも重なり、マチ先生の「お疲れ様でした。」の一言に涙があふれました。 京都の街並み、そして美味しそうな和菓子を想像しながら読むのがとても楽しかったです。

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    大阪府

    紀伊國屋書店 泉北店 塘浩子様

    安心して逝ける、最期の時を託せる先生に出会える事が、宝くじに当るような事ではなく、当たり前になる為に、自分に何が出来るかを考えながら読みました。思いやりの気持ちを皆が持てれば、この物語の世界に少し近づく事ができるかも。

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    兵庫県

    兵庫県 O様

    “病気を治すだけが正解ではない”これは医師だけでなく、患者本人もとても難しい問題だと思います。マチ先生はこの問題に患者の気持ちにも寄り添い医師の視点も疎かにしない、超人のような精神を持った甘党で、うちの近所にも居てくれないかなぁと思いました。シビアなテーマなのにあたたかさに溢れた、大事にしたい1冊です。

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    兵庫県

    兵庫県 I様

    亡くなった父のことを思い出しました。面会もままならなかった昨年のこと、私達家族の分も、ちゃんと最期まで看護ケアして下さった医療関係者の方々。このお話は本当にありますね。そんな皆さんに私は会ったことがあるし、感謝してますから。いいお話でした。ありがとうございます。

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    大阪府

    ジュンク堂書店 松坂屋高槻店 西本裕子様

    “世界にはどうにもならないことが山のようにあふれているけれど、それでもできることはあるんだ” 医師として数多くの人の命に向き合ってきた夏川先生の想いがすごく伝わってきた。 あと、昔北野天満宮に行った時に食べたきりだった長五郎餅がまたすっごく食べたくなりました!確かにあれは“死ぬまでに絶対に食べておくべきうまいもの”です!

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    奈良県

    喜久屋書店 大和郡山店 森谷哲様

    どうやってこの感動を伝えればよいのかわかりません。 ただ人が生きて、老いて、死んでゆく上でとても大切なことが書かれてあることは間違いありません。「おおきに、先生」たったこれだけの言葉にこれほど打ちのめされるとは。 あと、読んでいるとなぜか口の中が唾液でいっぱいになります。

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    滋賀県

    ジュンク堂書店 滋賀草津店 山中真理様

    自分がこの世からさよならする前に、周りの人やお世話になった医師の先生にありがとうと言える最期を迎えたい。命は自分のものであっても、どうにもならない儚く無慈悲なもので、失われてしまう。でも医療、人の力で優しい気持ちで残された時間を過ごすことができるとこの本が包みこんで、伝えてくれている。医療って技術だけではないんだ。むしろ人が人に対して何を望んで、微笑んで過ごすことができるかを考え続けていくことなんだ。人と人の優しく温かい対話。現に南医師が原田病院で、マチ先生についてみた医師としての姿は、彼女を柔らかくした。命は人のものだから、温かい心をもった人に尽きるまで診てもらい、希望をみたい。出てくるどの京都の和菓子も好きです。甘いのを好きな先生も素敵です。

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    京都府

    平和書店 TSUTAYAアルプラザ城陽店 奥田真弓様

    人が一人死ぬということは、大変なこと。 家族を送ったことのある方なら 想像に難くないではないでしょうか。 京都の街中を自転車で往診に回る 甘味好きの医者。 彼が抱えるのは、これから死にゆく終末期患者たち 穏やかな自分らしい人生の幕引きを手助けをしている。 逝こうとする人を引き戻すのが医療。 でも、旅路へ穏やかに送り出すのも医療。 野心はなくても矜持はある。 かっこよすぎますね… 積み重なった歴史と人々の営み。 京都の街並みを背景に、 暖かく心に沁みる物語でした。

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    大阪府

    未来屋書店 りんくう泉南店 新家かほり様

    京都の美しい景色に銘店の和菓子の数々。美しい描写が素敵です。 人との別れを多く経験する年齢になり、改めて生きることの意味や人生について考えることが多くなりました。 奇跡が起きなくても天才外科医が登場しなくてもいいんです。こんな物語が読みたかった。 死を目前にしたとき、自分の気持ちを否定せず寄り添ってくれる医師に出会えたなら、きっと悪くない人生だったなと穏やかな気持ちで逝ける気がします。 マチ先生の言葉はどれも深く心に残るものでした。人として医師として真摯に患者に向き合っているから重みがある。 様々な苦悩や葛藤を抱えながらも最期まで諦めず患者に寄り添う姿に、医師の仕事とは?の答えを見た気がします。 今の時代にこそ多くの人に望まれる物語だと思います。1人でも多くの人に読んで欲しい。心が洗われます。

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    滋賀県

    本のがんこ堂 石山駅前店 松田寿美様

    この小説の見所は医師哲郎と患者さん、その家族との会話シーンだと思います。死が間近に迫っている人、家族を看取った人にどんな言葉をかけられるのか。嘘もお愛想もなく、感傷的にならず、本当に言ってほしい言葉を自然と言えるマチ先生。まだ三十代なのに。しかもスゴ腕。正直、病名や医学用語は意味がわからず読みトバしたので、このようなシーンをずっと読んでいたかったです。 花垣の「一流の科学者でありながら哲学者」という評価が腑に落ちました。

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    和歌山県

    宮脇書店 和歌山店 岩瀬竜太様

    佐々涼子さんの「エンド・オブ・ライフ」を読んだ時のように『命の閉じ方』を考えさせられるような内容でした。(クライマックスの辻さんのストーリーが影響しているのかと思いますが…)。マチ先生と花垣のかけ合いも気持ち良くて、もっともっと続きを読んでみたい気持ちです。

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    大阪府

    大阪府 T様

    原田病院の、みんなの暖かさに、心打たれました。1人1人の登場人物の個性がとても豊かで、この先も、もっと知りたくなるような展開でした。時々でてくる、関西弁、(京都弁)が、ホッとさせてくれて、心に染み込んでいきました。雄町先生の甘党で、お餅好きなところも、大好きです。夏川先生の本は、とても落ちたいた気持ちになれ、人の優しさに気づかされる本で、期待を裏切らなかったです。ありがとうございました。

スピノザの診察室のイラスト
あらすじ
その意志は、最後に希望の明かりを灯す。

雄町哲郎は京都の町中の
地域病院で働く内科医である。

三十代の後半に差し掛かった時、
最愛の妹が若くしてこの世を去り、
一人残された甥の龍之介と
暮らすためにその職を得たが、
かつては大学病院で
数々の難手術を成功させ、
将来を嘱望された凄腕医師だった。

哲郎の医師としての力量に
惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、
愛弟子の南茉莉を研修と称して
哲郎のもとに送り込むが……。

スピノザの診察室のイラスト
スピノザの診察室

〜物語に華を添える京都の銘菓〜

主人公・雄町哲郎は大の甘党。作中に登場する、
彼が愛する京都の老舗菓子店もまた物語のエッセンスとなっています。

最先端の医療・医術と、様々な人の終末に接する医師と心の葛藤。スピノザと云う単純にして難解な哲学者の言。
浅くは理解できても読後は深い。素晴らしい本に出会えました。マチ先生の好物をぜひ皆さんにもご賞味頂けたら幸いです。

阿闍梨餅本舗満月 店主 西浦裕己

感動……そして感激しました!思わず3回読み返しました。医者本来の患者に対する心を大切に接する主人公に今まで餅本来の味をひたすら守ってきた餅屋バカが感銘を受けました。これからも主人公の心の支えの一つになればとまた餅屋バカは餅を造り続けることにします。亡き先代が喜ぶように……

長五郎餅本舗 社長 藤田典生
【著者】夏川 草介 読者の皆さまへ メッセージ

【著者】夏川 草介

医師になって20年が過ぎました。
その間ずっと見つめてきた人の命の在り方を、私なりに改めて丁寧に描いたのが本作です。
医療が題材ですが「奇跡」は起きません。
腹黒い教授たちの権力闘争もないし、医者が「帰ってこい!」と絶叫しながら心臓マッサージをすることもない。
しかし、奇跡や陰謀や絶叫よりもはるかに大切なことを、書ける限り書き記しました。
今は、先の見えない苦しい時代です。
けれど苦しいからといって、怒声を上げ、拳を振り回せば道が開けるというものでもないでしょう。
少なくとも私の心に残る患者たちは、そして現場を支える心ある医師たちは、困難に対してそういう戦い方を選びませんでした。
彼らの選んだ方法はもっとシンプルなものです。
すなわち、勇気と誇りと優しさを持つこと、そして、どんな時にも希望を忘れないこと。
本書を通じて、そんな人々の姿が少しでも伝われば、これに勝る喜びはありません。

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【著者プロフィール】

夏川 草介なつかわ そうすけ

1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。⻑野県にて地域医療に従事。
2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書は2010年本屋大賞第2位となり、映画化された。他の著書に、世界数十カ国で翻訳された『本を守ろうとする猫の話』、『始まりの木』、コロナ禍の最前線に立つ現役医師である著者が自らの経験をもとに綴り大きな話題となったドキュメント小説『臨床の砦』など。

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夏川さんに作品の執筆を依頼してから、14年の月日を経て生まれたのが本作です。

「人の命と幸せ」という深遠で大きなテーマを扱ってはいますが、小難しさは一切ありません。
飄々としながらも優れた一人の医師が、患者や仲間と真摯に向き合う姿を描いた、最高に“面白い”物語です。

そして、僭越ながら『スピノザの診察室』は、誰かの人生を変える一冊になり得るかもしれないと感じています。

今、この時代にこの作品を送り出すことができたことを、誇りに思います。

ぜひ、ご一読いただけましたら幸いです。

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水鈴社 代表取締役 / 編集者

篠原一朗

スピノザの診察室