その医師は、
最期に希望の明かりをともす──。
現役医師として命と向き合い続けた著者が到達した「人の幸せ」とは。
20年間、医療の最前線で命と向き合い続けた著者が描く、祈りと希望にあふれた感動の物語。
SPINOZA CLINIC
書籍情報
定価:1,870円(本体1,700円+税10%)
ページ数: 288ページ | 体裁: 四六判 上製
装丁:名久井直子 | 絵:五十嵐大介
発行日:2023年10月25日
ISBN:978-4-16-401006-8 | Cコード:0093
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雄町哲郎は京都の町中の
地域病院で働く内科医である。
三十代の後半に差し掛かった時、
最愛の妹が若くしてこの世を去り、
一人残された甥の龍之介と
暮らすためにその職を得たが、
かつては大学病院で
数々の難手術を成功させ、
将来を嘱望された凄腕医師だった。
哲郎の医師としての力量に
惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、
愛弟子の南茉莉を研修と称して
哲郎のもとに送り込むが……。
主人公・雄町哲郎は大の甘党。作中に登場する、
彼が愛する京都の老舗菓子店もまた物語のエッセンスとなっています。
最先端の医療・医術と、様々な人の終末に接する医師と心の葛藤。スピノザと云う単純にして難解な哲学者の言。
浅くは理解できても読後は深い。素晴らしい本に出会えました。マチ先生の好物をぜひ皆さんにもご賞味頂けたら幸いです。
阿闍梨餅本舗満月 店主 西浦裕己
感動……そして感激しました!思わず3回読み返しました。医者本来の患者に対する心を大切に接する主人公に今まで餅本来の味をひたすら守ってきた餅屋バカが感銘を受けました。これからも主人公の心の支えの一つになればとまた餅屋バカは餅を造り続けることにします。亡き先代が喜ぶように……
長五郎餅本舗 社長 藤田典生
医師になって20年が過ぎました。
その間ずっと見つめてきた人の命の在り方を、私なりに改めて丁寧に描いたのが本作です。
医療が題材ですが「奇跡」は起きません。
腹黒い教授たちの権力闘争もないし、医者が「帰ってこい!」と絶叫しながら心臓マッサージをすることもない。
しかし、奇跡や陰謀や絶叫よりもはるかに大切なことを、書ける限り書き記しました。
今は、先の見えない苦しい時代です。
けれど苦しいからといって、怒声を上げ、拳を振り回せば道が開けるというものでもないでしょう。
少なくとも私の心に残る患者たちは、そして現場を支える心ある医師たちは、困難に対してそういう戦い方を選びませんでした。
彼らの選んだ方法はもっとシンプルなものです。
すなわち、勇気と誇りと優しさを持つこと、そして、どんな時にも希望を忘れないこと。
本書を通じて、そんな人々の姿が少しでも伝われば、これに勝る喜びはありません。
【著者プロフィール】
夏川 草介なつかわ そうすけ
1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。⻑野県にて地域医療に従事。
2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書は2010年本屋大賞第2位となり、映画化された。他の著書に、世界数十カ国で翻訳された『本を守ろうとする猫の話』、『始まりの木』、コロナ禍の最前線に立つ現役医師である著者が自らの経験をもとに綴り大きな話題となったドキュメント小説『臨床の砦』など。
夏川さんに作品の執筆を依頼してから、14年の月日を経て生まれたのが本作です。
「人の命と幸せ」という深遠で大きなテーマを扱ってはいますが、小難しさは一切ありません。
飄々としながらも優れた一人の医師が、患者や仲間と真摯に向き合う姿を描いた、最高に“面白い”物語です。
そして、僭越ながら『スピノザの診察室』は、誰かの人生を変える一冊になり得るかもしれないと感じています。
今、この時代にこの作品を送り出すことができたことを、誇りに思います。
ぜひ、ご一読いただけましたら幸いです。
水鈴社 代表取締役 / 編集者
篠原一朗
愛媛県
ジュンク堂書店 松山三越店 木﨑麻梨子様
すべての事象を“受け入れて”、自分ができること、努力すべきことをただやる。シンプルだけど、何となくわかっているけど、実に難しい。 マチ先生が側にいてくれたらできそうな気がするけど、側にはいてくれないので、“受け入れる”ことができなくなった時、読み返そうと思います。 人生でずっと探している答えの1つに出合えた、そんな1冊でした。 (和菓子はあまり食べないのですが、無性に食べたくてたまらなくなりました…。)
高知県
高知 蔦屋書店 吉野理枝様
面白かった。 命と真に向き合う。重いテーマを扱っているのに、そうは感じさせずに読めたのは魅力的な登場人物達がいたからかもしれない。でも、深く考えさせられる内容で心にしみ入る文章や、刻みつけたい言葉があちこちにあり、立ち止まり、繰り返し読んだ。科学というものの根底には、哲学が深く関わり、そこには、人間の生死も含まれているのだと感じた。
愛媛県
明屋書店MEGA平田店 山崎様
書店員でなくても私はこの本を皆さんに強くオススメします。 医療がテーマの本書ですがステレオタイプの「ザ・医療小説!」ではありません。 柔らかく穏やかに、しかし心の奥底で「生きること・死ぬこと」について真剣に考えられる物語です。 それは主人公のマチ先生や登場人物が他者を嘲笑せず、嘆かず、呪わないからなのだろうと思います。 医療現場に関わらず先の見えない世の中になりつつある今こそ 『スピノザの診察室』のような一冊が私たちには必要だと信じ私はこの本を強くおすすめします。